実家にいたトイプードルのモコが旅立った。15年間ありがとう。だけど、あんまり一緒に居れなくてごめんね。
海外在住だと最後の瞬間に立ち会えない可能性の方が遥かに高い。
幸い今回は間に合って心の準備をしながら看取りができた。
遠くにいるからこそ、後悔しないよう動くしかない。
いつまでもメソメソしている訳にはいかないので、モコを見送ってからいつもと同じように生活してる。うん、そうするしかない。
もちろん楽しい時や嬉しい時はあって笑ったりもする。でも、実際はペットロスが抜けないし、ふとした時に思い出して泣いてしまう。
散歩しててモコに似てる犬がいるとしんどいし、どの犬を見てもあの子もいつか、、、などと考えてしまったする。
正直今も涙が止まらない。本来であれば悲しい話題を書くのは好きではないが、ポリシーなんて覆すくらい大切な存在だし、感情が落ち着いてから書くのもなんか違う気がした。
何よりも心にぽっかり穴があいたままで、何事もなかったかのように生きていくなんて無理。
ぐちゃぐちゃと前置きしてしまったけど、モコを看取るまでの経緯を時系列で書く。
2/718:00愛犬危篤の知らせを受ける@バンコク
外出中に母親から連絡があり、モコの体調が未だかつてないレベルで悪いという。
テレビ電話越しだけど、表情から生気が抜けているのが伝わってきた。
なんというか、犬ではない別の何かのような顔。もののけ姫で、猪の皮を被って移動していた人間がいたけどあの猪の顔みたいに少し異質な感じ。
「今から帰っても間に合わないかもしれない」
「帰らなくても後悔するかもしれない」
「でも飛行機は飛んでて、前みたいな強制隔離もない。環境的に恵まれているのに何をごちゃごちゃ悩んでいるのか」
モコと呼んだ時に、鼻をくんくんさせながらわたしを探す姿を見て心は決まった。
飛行機のチケットを買う。
深夜便があったがPCRの結果が入国までに間に合わない。泣く泣く翌日の昼発を選ぶ。
ワクチン3回目を打っておけば良かったと初めて後悔した。
偶然にもパスポートを持ち歩いたので、その足で病院へ向かいPCRを受ける。
この時すでに20:00を過ぎていた。ホッとしたくてMKレストランで鍋を食べることに。
注文の品を待つ間に、空港から自宅へのタクシーを手配する。国際電話は音声が悪くよく聞こえなかった。
食べながら色々と考える。
実はもう1匹トイプーのこつぶがいたのだけど、コロナ禍かつ隔離期間があって間に合わなかった。
こつぶはモコが2回目に産んだこども。その中で最も小さいのが名前の由来。クリーム色でとてもかわいい。ちなみにモコはアプリコット色。
こつぶの時も、若干体調を崩して嫌な予感がした。
家族に「明日にでもこつぶを病院につれていったら」と言ったけど、その明日を先延ばしにした結果、突然いなくなってしまった。
あの時、もっと真剣に伝えておけばこつぶは生きてたかもしれないとも思う。
でも、遠くから言うだけなら簡単で、みんなだって忙しい。こつぶはまだ若かったので、まさかそんなすぐには死なないだろうとも考えてしまうのも仕方ない。
母はフルタイムで働いており、日中は家にいない。モコはこつが居なくなってからずーっとひとりで留守を担っていたのだ。
今回ばかりはモコをひとりぼっちにさせたくない、、、ぐるぐる考えていたら緊張で寝れずにもう午前3時。あと2時間でタクシーがくる。
2/8日本到着。モコの体調が少し持ち直す
モコの体調について家族からメッセージが引き続きくるが、身動きできないし、悪い知らせだったら辛すぎるので開くたびドキドキして怖かった。
体調が落ち着いたと連絡がきて一安心。
飛行機では全く寝れないのだが初めて寝た。緊張が続いていたらしい。
飛行機が30分ほど遅延したが予定時刻に到着する。
リック1つ着の身着のままで来たので15分ほどで到着ゲートへ。
モコは昨日に比べたら元気になったらしい。タクシーで実家へ向かう。
実家に着くがモコは一切吠えない。出迎える力は残っていない模様。
尻尾も丸まったまま、足はヨボヨボしており、立つのもままならない。
姉がタイから帰国したからか?プレッシャーを感じたのか弟夫婦が実家に来た。奥さんもつわりでしんどいのにわざわざ着いてきてくれてありがたい。
この時点でモコは見違えるほど元気になった。
リビングをうろうろするので、弟が「モコ本当に具合悪いん!?」と驚くほどである。
とはいえ、姪っ子に追いかけられても逃げないし、動かないので本調子ではない事はたしか。
でも、これはモコの空元気であり、わたしたちを心配させないための気遣いであったと後に知る。
2/9モコを動物病院に連れて行く
モコが意外と元気そうで安心した弟夫婦が帰った。
それでもやはり心配なのでかかりつけの動物病院に連れて行く。
体温を計測すると39.1とやや高熱。
念のため血液検査してもらった結果、膵炎とのこと。
ステロイド注射を打ってもらい、エサを膵炎治療用のロイヤルカナンに変更。そして飲み薬も併用することになった。
注射してから1時間くらいして見違えるほど元気になる。
歩けるようになり、家の中を少しうろうろできるようになった。
新しいエサは缶詰とドライタイプ両方試してしてみたが、ドライはふやかしてもあまり食べない。
しかし、缶詰の方はモリモリ平らげ、おやつのさつまいもやいちごもしっかり食べた。
表情もしっかりしてきて、足のヨタヨタ感もなくなってきたため、回復の見込みがあると判断し、16日発のチケットを取る。
2/10モコの元気がまたもやなくなる
昨日とは打って変わって、ぐったりしている。
朝ごはんは通常の量を食べたので食欲は回復傾向に思えた。
しかし、身体は元通りになってしまいぐったりしている。身体も熱っぽいままで、足の付け根あたりだけ異様に熱い。足を曲げたりするのも苦しそう。
さらにソファの昇降台に登ることすら困難になってきた。段差の2段目で止まってしまい都度サポートが必要。
水は飲んでいるけど量が少ない。トイレや水飲みに起きるくらいでずっと寝ている。
お気に入りの寝床を整えることもなく、こてんこてんと力尽きたようにその場で寝こむ。
さつまいものおやつはちょろっと食べた。
少しずつ回復しているはず。
母も私もモコが回復傾向にあると信じたかったのかもしれない。
2/11宅急便の配達員にまったく反応しない
相変わらずモコはずっと寝ている。宅急便の配達員がくるがガン無視。
いつもなら吠えるのに元気がない…。目が離せないし油断ならない。
ピクリとも動かないので息してるか頻繁に確認してしまう。
呼んでも耳が遠いのか全く反応せず。
それとももう聞こえなくなっているのだろうか?
モコは起き上がるのが辛いのか、ぐでたまのようにベッタリと寝ているので背中しか見えない。
元気なうちにフリスビーとかおもちゃで遊んでおけば良かったなぁ、、、
まあモコはボール投げても全然取りに行かないんだけど。
2/12モコの食欲がなくなってきた
ご飯を自分から食べなくなる。餌入れを置いてもスルー。
エサを手に載せて口まで運ぶと食べてくれる。少なめどけど完食してくれた。
それにしてもロイヤルカナンやチュールの匂いは手につくと中々とれない。
宅急便の配達員にお出迎えがてら弱々しく吠える。今度はわたし同年代くらいの女性。勘違いしたのだろうか?
これが最後に聞いた家族以外に吠える声。
昔はギャンギャン吠えて怒られていたけど、今日は褒めてあげたい。
お出迎えよく頑張ったねぇ。すごくえらいよ。
2/13モコが大好物のガムをまったく食べない
とうとうご飯をうけつけなくなる。大好きなはずの歯磨きガムも手付かずのまま転がっていた。
抱っこしようとするとたまに苦しそうな声をあげる。
でも力を振り絞って近寄ってくる。たぶん抱っこしてほしいんだけど、どうしていいかわからない。
この状況で思うのもなんだけど、しおらしいモコもそれはそれでかわいい。
前なら抱っこを嫌がってすぐ腕の中から降りていたけど、大人しくすやすや寝息を立てている。
断片的な記憶をたどりつつ書いているが、涙が出てしまうため思うように進まない。
悲しいのは当たり前だ、旦那氏より付き合いが長かったんだもの。
2/14もう願うことしかできない
普段はお墓参り仏壇に感謝はすれど、お願い事をしたりしない。
でも、今日ばかりはご先祖さまに「モコをひとりにしないでほしい。寂しくないように最後はみんながいる時に」とお願いしてしまった。
朝からエサをほとんど食べない。薬だけなんとか飲ませたけど、大好きなチュールも3口で終わり。
その4時間後、全て吐いてしまう。
母の布団に寝かせたが、わたしの布団に入ってくる。
いつもなら足元に行くのにずっと頭の所から動かない。
昨日と同じように一緒に寝た。モコの匂いは落ち着く。とてもあたたかい。
1時間に1回の頻度で身体が動かず寝返りが打てない時や、トイレに行きたい時などキャインキャインと苦しそうに鳴く。
その度に起きて補助した。
もう頑張らなくていいよ、でも寂しい、やっぱり治るはず、、、そんな気持ちが行ったり来たりしている。
2/15モコが立てなくなる
母がモコと叫びむせび泣く声で目が覚める。
7:20身体がぐったりして力が入らなくなってきた。10分に1回くらい声にならない声で鳴く。
もう目も見えず意識も朦朧としてるはずなのに、母が視界から消えると分かるらしい。吠えようとしても声が出ない。
手足がぐにゃぐにゃして立つことも歩くことも寝ることもままならない。
抱っこしてると脈が弱まって、少しずつ衰弱していってるのが伝わってくる。
犬は匂いで泣いてるのが分かると聞いてから、泣かずに笑顔で見送りたかったが、涙しか出ない。
心配にさせたくないけど、我慢できなかった。
もう頑張らなくていいよと言っても、モコも必死で粘る。もう限界だろうに、どこまで家族思いなのだろうか?
8:07永眠
うんうんと頷くように喉の奥から鳴いて心臓が止まる。
昨晩は肉球からふがしのような、シダーウッドのような匂い、耳からは内耳炎で蒸れた足のような臭いがしていた。
でも、もう無臭、というか匂いが突然しなくなった。
犬独特の加齢臭のような皮膚のにおいだけがほのかに残っている。
こつぶの時、モコは同じように感じたかもしれない。
さっきまでしていた匂いが、突然しなくなる。
悲しくないわけがない。
火葬の予約をする代わりに、トリミングの予約をキャンセルする。
10年以上通っていたサロン、担当者は変わっていない。
同じように常連から突然キャンセルの電話が来るたび、彼らはどういう気持ちになるんだろうと心配になった。
モコの身体はどんどん冷たくなって、ピンク色だった身体も白くなりつつある。
彼女がいなくなっても、15年間あったゲージや水飲みのお皿、お気に入りのクッションは残る。もう主はいないのに。
忘れたくないのに忘れてしまう
モコのことも時が経てば少しずつ忘れてしまうんだと思う。忘れたくないのに日々に押し流されて薄らいでいく。だから書き残す。
どうして居なくなってからもっと優しくしとけば良かったとか、もっと一緒に居れば良かったって後悔するんだろう。
でも、最後は一緒に過ごせて幸運だった。間に合って良かった。朝起きたら冷たくなってたって話も聞くもの。
わたしに迷惑がかからないように、出発前日にタイミング合わせてくれたんだよね、ありがとう。
そして、アシストしてくれた旦那氏にも感謝している。
帰ろうか迷っていたけど、背中を押してくれてありがとう。
いつかわたしが死んだら、またみんなで一緒に暮らそうねモコち。こつぶとケンカせず遊びながら待ってておくれ。
愛犬がいる方は元気なうちにたくさん散歩して、いっぱい遊んでたまには甘やかして大好きなおやつをあげて、できるかぎり一緒に過ごして可愛がってください。
きっといくら愛しても悲しむことには変わりないけど、後悔は少しだけ減らせるはず。